貸金業規制の改正法が成立したのを契機に、国や自治体で多重債務者救済の機運が高まりつつある。東京都は来年度から、自治体として初めて低利融資制度を創設する。国は昨年末に発足した対策本部が今春をめどに具体策をまとめ、地方自治体も巻き込んだ救済策を講じる。規制強化の影響を見越し、貸金業者はすでに「貸し渋り」や「貸しはがし」に乗り出しており、公的支援のありようが注目を集めそうだ。
都の低利融資制度は、都からの原資15億円を基金に、都社会福祉協議会が貸し付ける。1人最高200万円(年利6~9%)で融資し、返済は6年以内。「他人の連帯保証人になったり、やむを得ない理由で多重債務に陥り、生活を圧迫されている人たちに救済の手をさしのべる」(都福祉保健局)のが目的で、ギャンブルなどで借金を重ねた人は対象外だ。
融資の前に、債務内容や年収などを聞いたうえで、支払いすぎた金利を元本に組み込む債務圧縮、今後の返済計画などを弁護士ら専門家が助言。これで生活再建にめどがつき、融資しても返済可能と判断すれば借り換え用として融資する。
国の対策本部も多重債務者に対する相談体制の充実や、破産を防ぐ低利融資の拡充などを急ぐ。
ただ、多重債務者には低所得者が多く、融資後の事故や病気などで返済が滞るケースも想定される。多重債務者問題に詳しい松崎龍一弁護士は、「借金苦による自殺、夜逃げを防ぐ公共政策の観点から公的融資は有効だが、貸し倒れリスクは高い」と指摘する。
岡山市は12日から、多重債務者に特化した相談窓口を設けるが、弁護士が相談に応じる形にとどめる。「融資は貸し倒れという難しい問題が絡む」(市の担当者)ためだ。
都は「回収率を確保しないと批判を浴びる。債務整理のノウハウを持つ弁護士などと連携し、審査するしかない」(生活福祉部)としているが、逆に審査の厳格化で一握りの多重債務者しか救済できないとのジレンマも抱えている。
一方、貸し渋りなどの影響で今後、借金返済に行き詰まる借り手が増えることが見込まれる。返済能力が低いとみなされた借り手がヤミ金融業者に流れれば、多重債務者問題は逆に後退する。
現在、借金返済が困難な多重債務者は全国で200万人から300万人といわれる。だが、今後も貸し渋りや貸しはがしに拍車がかかれば、借金返済に借金を重ねる「自転車操業」で生活してきた借り手も、返済困難に陥る可能性も出てくる。松崎弁護士は「今後、貸し渋りなどで200万人増える」と予測しており、こうした対策として公的融資を求める意見もある。
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何を今更・・・貸し倒れリスクが高い=だから金利が高いんじゃないか。